「モラトリアム」は、モラトリアム人間とも使われる言葉です。心理学用語のひとつです。
一般的な意味では、大人としての年齢や肉体的発達はしているものの、大人になりたくないと思っている心理や大人になるための選択などを先延ばしにしているような人のことをさしています。
日本ではネガティヴなイメージの言葉ですね。
しかし、モラトリアムのこの否定的な意味は、日本独自の解釈です。本来の心理学用語のモラトリアムは、大人になるために必要な、社会的に認められた必要な猶予期間をさし、否定的な意味ではありません。
心理学用語では、上記のような意味ですが日本では「ニート」と同じような意味で使われる「モラトリアム」について解説していきます。
モラトリアムとは?
モラトリアムの本来の意味は支払猶予や執行猶予期間などのことです。
天変地異や大恐慌が発生したときに経済的な混乱を小さくすることを目的として、一時的に決済に猶予を持たせるときなどに用いられる言葉でした。
死刑が執行されたり法律が施行されたりするまでの期間を指すことも多かったです。
しかし、現代においては違う意味で用いることが増えています。人間の肉体や精神の状態を表すときに用いられるようになりました。
一人前になって独立するまで、大人としての義務や責任から解き放たれている時期を猶予期間と見なしてモラトリアムと呼んでいます。
- 大学卒業後にモラトリアムな期間がありました。
- 震災後のモラトリアムな期間が3ヶ月あった。
- いっぱい時間はあったのに締め切り間際に提出なんてモラトリアムだね
のように使います。
モラトリアム人間とはなに?
モラトリアム人間とは、人生の岐路に立って選択をすることを避けている人のことです。
身体的には大人になっており、知性の面でも子どもではないのに自分を大人として認識できていません。
精神的に熟しておらず自己形成の過程に留まっており、大人の仲間入りができずにいるのです。そうやって社会に出ることをひたすら延期する状態を続けています。
成人しても働かずに不平不満を言っていることが多いですが、その背景には過剰な自意識が潜んでいるのが一般的です。
自分の理想像を持っており、現実の自分はそれからかけ離れていると感じています。
モラトリアム人間の特徴とは?
- 大学卒業後も定職につかない
- 社会的な自己が確立していない
- 目標がない
- 決断力が低い
モラトリアム人間は、就職をしてもすぐに退職してしまう傾向にあることが多いです。
「自分にはもっと実力がある、本来の自分はこんなはずではない」と他人のせいにしてネガティブに思っている傾向があるため、会社や社会に溶け込む努力を避けルことが多いので、周囲との信頼関係を築きにくいようです。
モラトリアム人間は自分の現状を否定する傾向にあり、物事を自分で決められないため、人生における目標を決めることが状態になり無気力になってしまうと言われています。
モラトリアムを抜け出すには?
モラトリアムから抜け出すには、理想ばかり夢見るのではなく現実を直視すること。
自分の義務や責任がどういうものなのか理解して、それを背負って自立するために努力する必要があります。
そう言われてもモラトリアムの状態にある人は努力すること自体が難しいと感じるでしょう。
そこで重要なのは、いきなり抜け出すことを期待するのではなく、実現できそうな目標を定めることです。
自分が前進していることを実感できることが大切なので、目標は簡単なものでも構いません。目標達成という成功体験を積むことによって、自信を持てるようになって脱却しやすくなります。
また、現状把握をするのもモラトリアムを抜け出すにはいい方法のようです。
例えば、
フリーターの方であれば、「このまま40歳まで同じ仕事を続けられるのか?」
会社長く続けれない方であれば、「なんですぐ辞めちゃうのか?本当の原因はどこにあるのか?」
今を考えて将来どうすればいいのか解れば自ずとやるべきことは解ってくるものです。
目標が見いだせなければ、簡単な資格の勉強はおすすめ
これまで本気になって何かを目指したことがなければ、目標を見出すのは簡単ではありません。
実際には難しくないものでも、自分にはハードルが高いと感じてしまうからです。
そのような状態であれば、データとして簡単であることが明らかな目標を定めると良いです。
たとえば合格率の高い資格であれば、客観的に見て自分でも達成できる可能性が高いと分かるでしょう。
簡単な資格の取得が目標に適している理由は他にもあります。
それは頑張った成果がはっきり残ることです。履歴書にも書けますし、確実に従来の自分より成長した証として認識できます。
- ITパスポート
- 簿記三級
- FP三級
- 知的財産管理技能検定三級
などは比較的合格率が高く、社会的にも認められやすい試験ですのでぜひ受験して見てください。勉強方法は別記事にまとまっていますのでぜひ参考にしてください。
まとめ
自分がモラトリアム人間だと感じている場合は、とにかく行動してみることが大切です。
失敗を恐れないことが大切ですし、失敗しても終わりではないと考えるこ。
ただ待っているだけ、「誰かが助けてくれる」と思っていても、いつまで経ってもモラトリアムから抜け出せないので注意してください。
それどころか社会で活躍している同世代の人との差を感じて、ますます劣等感が大きくなってしまうことがあります。
そうなると理想の自分との乖離が進んでいきかねません。多くの場合は根本的に劣っているわけではなく、地道に努力することで社会で活躍する下地を築けるので前向きに取り組みましょう。